2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

一方通行路(4)

フロベールに「ブーヴァールとペキュシェ」という、不思議な小説(未完)がある。 ブーヴァールとペキュシェは、貧しいパリの筆耕生である。 ブーヴァールが遺産を得たことで、田舎に土地を買い共同生活を始める。 このふたりの生活は、あらゆる「書物」を読…

一方通行路(3)

「本の中の本=聖書」が、「真理」の<喩>から転落した時点で、ヨーロッパ近世が発見したのは、「科学」であった。 あるいは、自然と言いかえてもいい。 それは、「神は数学の言葉で自然の書物を書いた」。というガリレイの主張に結晶している。 (書物の図…

一方通行路(2)

時代は、ルネサンスとちょうど対のような関係にあるが、とりわけ、書籍印刷術が発明されたときの状況と対立している。つまり、偶然であったか否かはともかく、ドイツに印刷術が出現したのは、言葉のすぐれた意味における本が、本の中の本[聖書]が、ルターの…