2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

鎖でつながれた本

本の各部の名称の中に、奇妙な部分がある。 それは、「前小口」のことだ。 「前小口」とは、有限会社イフのホームページ内の「印刷・製本辞典」によれば まえこぐち (前小口) fore-edge/front仕上げ断ちした本の綴じ目と反対側の切り口。単に「小口」とい…

印刷されたページの視覚的装置

永嶺重敏が指摘する「音読」の証拠は、列車内の他、新聞縦覧所・監獄・学校寄宿舎などである。 特に学校寄宿舎では「音読室」が設けられたり、「黙読時間」と「音読時間」を分離するなどの方策がとられている。 いずれにせよ、20世紀はじめまで、日本の読書…

公共の場所での音読

永嶺重敏が『雑誌と読者の近代』で引用している、明治期の汽車の車内での音読に関する新聞・雑誌記事は、現在と異質の「読書空間」が日本にあったことを教えてくれる。 「汽車の中に入れば、必ず二三の少年は、一二の雑誌を手にして、物識り貌に之を朗唱する…

声に出して読みたい日本語

「現代では小説は他人を交えずひとりで黙読するものと考えられているが、たまたま高齢の老人が一種異様な節回しで新聞を音読する光景に接したりすると、この黙読による読書の習慣が一般化したのは、ごく近年、それも二世代か三世代の間に過ぎないのではない…