西洋書物学事始め


高宮利行の「西洋書物学事始め」を読んでいて、ふたつのことに気づいた。
ひとつは巻頭の口絵にある、イギリス「ヘリフォード大聖堂」の図書館の写真。
「書物」が鎖につながれているのが、はっきり分かる。


ヘリフォード大聖堂、図書館のURLは、以下の通り
http://www.herefordcathedral.org/library.asp


棚と書見台との位置関係がさらにわかりやすい写真は、次のURLで見ることができる。
http://medievalwriting.50megs.com/decoration/binding2.htm


なにか、おどろおどろしい感じがするのは、私だけだろうか。


一方、樽詰めの書物であるが、本文中に「書物」を樽に詰めている2枚の図が入れられている。
1枚は、前回書いたブリュノ・ブラセルの「本の歴史」に所收の図と同じで16世紀の図。もう1枚は、17世紀の樽詰め輸送の図で、前者がワイン樽によく似た樽であるのに対し、後者は、どちらかというと「たらい」のような、口の大きいものに詰めている。


本は『製本前の「刷り本」の状態で運ばれた。』と、ブリュノ・ブラセルの「本の歴史」から引用したが、この2枚の図を見るかぎりでは、どちらも製本済みのものを詰めているように見える。(同じ図が、「本と人の歴史事典」にも掲載されている)


碩学・高宮利行が、

遠隔地に輸送される書物が、常に製本されてから樽に収められるとは限らない。印刷されてはいるが、未製本のシートの状態の書物も送り出されたはずである。なぜならば、未製本のまま遠隔の都市や外国に送られた書物が、到着した場所で装飾されたり製本されることは、15世紀半ばでも実際に行われていたからである。すまわち、積極的な意味で未製本の状態で送ったことになる。        (西洋書物学事始め 70p)


と書いている。
ひとまず、それを信じておこう。


web上で、図版を探す過程で、国会図書館の「インキュナプラ 西洋印刷術の黎明」というページを見つけた。
http://www.ndl.go.jp/incunabula/index.html
「インキュナブラの画像が見られるサイト」というリンク集まであり、役立ちそうだ。

西洋書物学事始め

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本の歴史 (「知の再発見」双書)

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図説本と人の歴史事典

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